要約
- れいわ新選組はかつては「国政政党」という理由から地方選挙や地方組織に否定的だった
- 2021年衆院選後、地方選挙にもコミットするように方針転換
- 2022年日光市議選の失敗を受けて、一部の「勝手連」が独自の区議候補を「れいわ新選組(勝手連)」の名義で街宣
- れいわ新選組関係者と勝手連関係者がエアリプ応酬
なにが起こっているか?
まずはこちらのツイートをご覧頂きたい。
このツイートを見た時、多くの方は「れいわ新選組」から新たな区議候補が擁立されたのだな、と考えると思われる。
しかし、れいわ新選組のサイトを見ても、該当する構成員の情報は見当たらない。
それもそのはず、上記の人物は「れいわ新選組」から予定候補者公認を受けていない、ただのボランティアである。なお公人でも候補者でもないため、当記事ではT氏と表記し、T氏のバックグラウンドには言及しないこととする
しかしT氏は一部「勝手連」の応援を受け、あたかも「れいわ新選組」公認候補として扱われている。
当記事では、なぜこのような事態が起こっているのかについてまとめる。
れいわ新選組は地方選挙に消極的だった
れいわ新選組は2019年7月に国政政党となったものの、「ポス活」と略されるポスターの貼り付け運動や選挙時のマンパワーは、依然として各地方のボランティア、いわゆる「勝手連」に依存している。
これまでも地方の勝手連は党本部による「地方組織」設立や地方選挙への参入を希望していたが、「我々は国政政党である」という山本太郎代表の主張や、リソース不足を理由に拒否されてきた。
以下は地方組織を要望する群馬勝手連(当時)と山本代表の動画。
この動画で、山本代表はれいわ新選組から地方議員を立てることを明確に否定し、逆に勝手連が「山本太郎」という看板に頼らず、独自に地域政党化して独自に候補を擁立していくような活動のほうが望ましいと発言している。
地方選挙への参入、そして敗北
しかし2021年都議選にはれいわ新選組公認で候補が擁立され、同年の衆院選後には衆院選で落選した元構成員が「政策委員」として統一地方選で擁立されることとなった。
2022年3月にも現役の日光市議が構成員となり、また翌月の日光市議選で公認され山本代表兼選対委員長も応援に駆けつけたものの、前回当選時の半数しか票を獲得できず落選した。
公認発表から投票日がごくわずかだったことに加え、山本代表兼選対委員長の地方選挙に対する認識が足りていなかった等、党本部の落度が伺える。
阿部和子(かずこ)氏とれいわ新選組時系列
— 倉辻/こちらOCEP第五電算室(ocep5v) (@ocep5v) 2022年4月11日
3/18 公認決定
3/31 党本部から公認発表
4/3~9 選挙運動
4/10 投票日https://t.co/S4HxC16U8m
「れいわ新選組若者勝手連」による独自の候補応援へ
ここで「れいわ新選組若者勝手連」(以下、若者勝手連)が登場する。
若者勝手連は各地に存在するれいわ新選組の勝手連の中では比較的有名であり、独自に政治団体「れ若連」を組織している。
この若者勝手連が、日光市議選の結果を受け「党本部任せにはできない」と、T氏の応援を始めたのだと思われる。
れいわ新選組は地方選挙の候補者も公募を行っているが、T氏に公認はついておらず、「調整中」とだけ説明がされている。
なお、T氏は「れいわ新選組大田区勝手連」に所属しているほか、政治団体「れいわ大田」の代表*1でもあると発表されていた。
元構成員からの苦言
5月12日、元構成員で記事執筆当時は参議院埼玉県総支部の選対に就いていた田島氏が、この件に関するツイートを行った。
普通に考えて、仮に自民党勝手連というノボリを持って、公認も受けていない人が、次期統一地方選に挑戦しますなんてやったら、お叱りを受けるどころか、下手したら迷惑行為で訴えられます。社会通念上の常識は大切だと思います。
— 田島つよし (@t_tajima_) 2022年5月12日
田島氏は2021年衆院選の候補者ではあったが、党規約上は予定候補者でなくなった瞬間から構成員としてみなされないため、党本部のメンバーではない。故に、エアリプのようなツイートになったのだと思われる。
これに対して、若者勝手連代表も「エアリプ」で返している。
田島氏のツイート(5月13日)及びそれに対する反応
Q 非公認って事に関しては、党からの公認を得られれば良いんでしょ?
— 田島つよし (@t_tajima_) 2022年5月13日
A 党からの公認が出るまでは、無所属、もしくは個人の政治団体で行うのが常識となります。
Q もし仮に公認がある事で公的な政治活動として問題になるなら、非公認のままやるしか無くないですか?
A 無所属でやれば良いと思います。 https://t.co/9BV1OR8H2Z
〇〇党勝手連の名前を背に、次期〇〇選挙に挑戦予定なんてのを、本当に勝手にやっていたら、どの党でもルール違反に該当すると思われます。
— 田島つよし (@t_tajima_) 2022年5月13日
〇〇党勝手連という政治団体から立候補を予定しているのであれば、問題ないかと思います。
迷惑かどうかは、やっている行為によるのではないでしょうか。 https://t.co/3FNCkUFWh0
公式が勝手連名称をどこまで規制できるのかは分かりません。仮に自由民主党勝手連という名称の政治団体を作り、自由民主党勝手連公認候補という肩書で地方選に出た場合、有権者には、公式と勝手連の区別が付き辛く、選挙区は荒れると思います。 https://t.co/i8WB2DGLwm
— 田島つよし (@t_tajima_) 2022年5月13日
Twitterに書き込めば良いというものではない。 https://t.co/lASNE5dt5X
— 🇯🇵かもめん(22)🐾 (@kamomen_rewaka) 2022年5月13日
ボランティアグループへの再編成と「立て直し」(5月16日)
5月16日、政治団体「れいわ大田 (@riwa_oota)」として作成されたTwitterアカウントがボランティアチーム「れいわ新選組チーム大田 (@reiwa_oota_)」に変更され、れ若連代表による「立て直し」が発表された。
党本部に依らない候補の擁立方針は、ひとまず変更されたと思われる。
最後に
れいわ新選組は印象に反して組織形態としてはトップダウン型ではあるが、マンパワーは依然としてボランティアに依存している。自分たちの要望を受け入れないと不満を持つ勝手連が生まれるのも時間の問題だったのかもしれない。
しかしながら「れいわ新選組(勝手連)」の幟をみれば一般的には「れいわ新選組」としての活動だと思うのは当然であり、田島氏は老婆心から苦言を呈したのだろうが、それが当該勝手連に伝わるかどうかは不明である。
上記はれいわ新選組東京勝手連が行った街宣に対する反応。勝手連は「その旨伝える」と返答しているが、勝手連はあくまでボランティアでしかないため、党本部まで伝わるかは不明である。
なお、田島氏がボランティアに服装について呼びかけたところ、予想外に反発を受けたことについてはここでは触れないこととする。
2022/12/30 削除されたツイートを Web Archive に置換。
*1:この政治団体の Twitter アカウントも存在したが、現在はT氏名義のアカウントとなり、その後削除された。 https://twitter.com/riwa_oota