OCEP第五電算室

この国を今一匹の亡霊が徘徊している――クソネミと言う名の亡霊が。

長谷川羽衣子氏は規約上のれいわ新選組構成員ではなかった(2022年参院選〜2023年2月)

まとめ(2022/6/22、2023/2/8 追記、2023/2/10 追記・改題)

  • 長谷川羽衣子氏は、緑の党会員ではあるがれいわ新選組構成員ではない
  • 参議院選挙にはれいわが「推薦」する候補としてれいわの比例名簿に掲載される
  • 議員当選後はれいわ構成員となるが、緑の党会員も両立する(二重党籍)ことを目指す
  • 二重党籍が認められた場合、緑の党に歳費の2割を納めるが、同様の仕組みをれいわにも作る
  • 「れいわローテーション」により、2024年から1年間程度れいわ所属の参議院議員を務めるとされている(2023/2/8 追記)
  • 2023/2/6、れいわ党本部は長谷川氏は「みどりの党を離党していると聞いている」と回答(2023/2/8 追記)
  • 2023/2/10、長谷川氏ら「れいわローテーション」該当者の入党が発表された(2023/2/10 追記)

記事の最後にも結論をまとめています。また、以下の記事は考察時の情報も含まれるため、古い記述も含まれています。

長谷川羽衣子氏は二重党籍?

Twitterで、緑の党グリーンズジャパン(以後、緑の党)が会員に向けて送ったとされるチラシがツイートされており気になった。

これによれば、今も「緑の党会員」である長谷川羽衣子氏が当選した場合「財政支援として歳費等から6年間で2000万円以上のカンパ」が緑の党に支払われると記載されている。

これに対して「二重党籍ではないか」との指摘が入っている。

また、緑の党参院選特設ページにおいても、長谷川氏は同党の推薦候補であると同時に「緑の党会員」でもあるとされている。また、「れいわ新選組 推薦候補予定者」の記載も確認できる。

greens.gr.jp

しかし調べていくうちに、長谷川氏は二重党籍ではなく、あくまで緑の党にのみ会員資格を有しているのではないかと考察した。以下がその理由である。

緑の党規約

まず、緑の党規約を確認する。これによれば、「会員」の二重党籍は明確に禁止されている。

なお、これ以降の引用部の下線は引用者が追加したものとなる。

第2章 会員およびサポーターと直接民主主義

(会員の資格)
第6条 この政党の目的に賛同し規約を認める人は、原則として誰でも会員となることができます。ただし、国政に議席を有する政党との二重加盟をすることはできません

一方で、所属国会議員は報酬の2割以上を会費として支出することが義務付けられており、6年間で2,000万円(年300万円以上)のカンパもここに由来されるとも考えられる。

第6章 所属国会議員および自治体議員の責務

(所属国会議員の責務)
第35条 この政党に所属する国会議員は、以下の原則を遵守するものとします。
〔中略〕
(4) 議員報酬の2割以上を、会費としてこの政党の活動に支出すること

れいわ新選組党規約

では、れいわ新選組党規約はどうか。こちらは二重党籍の禁止は明記されていない(れいわオーナーズでは禁止)。

第2章 構成員
(構成員)
第4条 本党は、綱領及び政策に賛同する者で構成する。
2 構成員は、入党手続きを経た国会議員、地方議会議員、首長、及び予定候補者、並びに代表が必要と認め役員会の承認を得た者(以下「構成員」という)で構成する。

長谷川氏は(順当に考えれば)予定候補者のくくりになると思われるが、ここで「予定候補者」の定義を確認する。

第6章 予定候補者
(候補者選定手続き及び決定機関)
第17条 国会議員選挙首長選挙若しくは地方議会議員選挙における候補者の公認を受けている者又は公認予定者を、予定候補者という。

党から公認を受けている者が予定候補者、ということらしい。

長谷川氏は「公認候補予定者」ではない

では、長谷川氏は公認を受けているのか。れいわ新選組所属ページを確認したが、長谷川氏のみ肩書に「公認」の記載がなかった。

れいわ新選組公式サイトより引用

また、ポスターを確認してみても肩書は「れいわ新選組参議院政策担当部長」であり、他の予定候補者が名乗る参議院○○総支部長」*1といった肩書は確認できない。

uikohasegawa.com

よって、長谷川羽衣子氏は規約上のれいわ新選組構成員(予定候補者)ではなく、現在も緑の党にのみ会員資格を有していると仮説を立てた。

問題点整理

では、この仮説が正しかった場合、何が問題となるだろうか。

6年間で2,000万円カンパは?

これ自体は、緑の党内部の取り決めなので問題ない。ただし、れいわ新選組構成員だと思って投票したのに、歳費や活動の一部が他党に費やされることを問題視する方は出るかもしれない。

れいわ新選組公認候補でないのにれいわ新選組の比例名簿に載る件は?

公職選挙法第八十六条の三によれば、政党に属さなくとも、推薦されればその政党の参議院名簿に搭載されることは可能である。

また、複数の政治団体が統一名簿を作り、比例区を戦っていく、ということは次回参院選でも予定されている。

www.labornetjp.org

ただ、上記の例では候補者は自分が所属する政治団体を明確にしており、長谷川氏のように誤認されるものではない。

れいわ新選組構成員でないことは何か問題になる?

まず、構成員ではないためれいわ新選組の総会や代表選挙に参加できない。

また、れいわ新選組として政党支部を作成できないため、支部交付金を受け取ることができない。緑の党政治資金規正法上の政党要件を満たしていないため、そちらからの財政支援もないだろう。ただし、れいわ新選組党本部から長谷川氏の政治団体に寄付する形であれば可能ではある。

(2022/6/22 追記)

ただし、緑の党会員を辞め正式にれいわ新選組構成員となれれば、この問題は解消される。もしくは、緑の党が規約を改正し、会員の二重加盟を認めた場合でも同じである。

(追記ここまで)

追記

高井幹事長の街頭演説後に質問したところ、長谷川氏は緑の党に今も党籍があり、公認ではなく推薦候補であるとの回答が得られた。

また、ジャーナリストの畠山理仁氏が長谷川氏の事務所と緑の党に質問を送っている模様。

追記2

長谷川氏が郡山市での集会で質問に答えているという動画の情報を頂いた。

www.youtube.com

発言内容は以下の通り。

  • 緑の党の共同代表からは却いたが、会員資格は保持している
    • このため公認ではなく、緑の党の推薦を貰ってれいわ新選組の候補者となった
  • 当選した場合はれいわ新選組の議員となる
    • 両方に所属していくような形でやっていきたい

前述の通り、緑の党は会員の二重党籍を認めていないため、双方に所属したいのであれば緑の党側を変える必要がある。

なお長谷川氏は、予定候補者を支援するための基金(原資は議員の歳費)をれいわ新選組にも創設したいと発言している。

www.youtube.com

追記3・結論

畠山氏が関係者に取材した記事が公開された。

note.com

有料記事なので本文からの引用は避けるが、これまでの情報をまとめると以下の通りとなる。

  1. 長谷川羽衣子氏は、公示日時点(2022/6/22)でも緑の党会員である
  2. 二重党籍を禁じる緑の党規約により、れいわ新選組の構成員にはなれない
  3. このため、参院選にはれいわ「公認」ではなく「推薦」という形で参議院名簿に掲載される
  4. 当選した場合はれいわ新選組の構成員となるが、緑の党会員も維持できるようにしたい(長谷川氏の意見)
  5. 二重党籍が認められた場合、緑の党規約に従い歳費の2割を緑の党に納めるが、同様の基金をれいわにも創設したい(長谷川氏の意見)

追記4 (2022/7/18)

2022年参議院選挙において、長谷川氏は特定枠候補を除くと党内第3位となり、落選した。よってれいわ新選組の構成員ではない。

一方で、れいわ新選組は「れいわ政治塾」を開校し、その塾長に長谷川氏が就くと発表している。党規約上「れいわ政治塾 塾長」は構成員としてみなされない*2が、今後もれいわ新選組の政策に関与していくようだ。

reiwa-shinsengumi.com

追記5 (2023/2/8)

2022年、NHK日曜討論』にれいわ新選組の一員として出演。その際の肩書は「れいわ新選組政策審議会経済担当」だった。この「政策審議会○○担当」という肩書は、過去に繰り上げ当選前の櫛渕万里氏が「政策審議会子ども・家庭政策担当」と名乗っていたケースが存在する。

2023年1月16日、山本太郎代表兼選対委員長は会見を開き、体調不良による水道橋博士議員辞職、及び水道橋博士の残り任期である5年半を名簿登載者でローテーションするという「れいわローテーション」を発表した。本来は大島九州男氏が繰り上げ当選となり残り任期を務めるのだが、2024年になれば大島氏が辞職し、長谷川氏が繰り上げ当選となる(以後、辻氏、蓮池氏、依田氏と続く)と発表されている。

reiwa-shinsengumi.com

このローテーションについて、長谷川氏は「面白い試み」と肯定的な発言をしており、同時にドイツ緑の党のケースを紹介している。

dot.asahi.com

同年2月7日、村上聡子市議(北九州市)は1月24日にれいわ新選組党本部に質問(れいわオーナーズの地位や党籍について)を行い、2月6日に受け取った回答を公開した。その中には、れいわオーナーズ・フレンズは所謂党員ではないことに加え、長谷川氏はみどりの党からは離党していると聞いている」原文ママ)との回答があった。

この回答から、長谷川氏は2022年参院選終了後から2023年2月のどこかのタイミングで緑の党を離党(会員資格喪失)したと考えられる。

一方、れいわ党規約上においても、議員や予定候補者でない長谷川氏は規約上の構成員ではない。また長谷川氏が表明している通り、緑の党規約改正が実現すれば長谷川氏が再び緑の党会員となり、議員報酬の一部を緑の党に納める可能性もそのままである。

追記6 (2023/2/10)

2023年2月10日、れいわ新選組は長谷川氏ら「れいわローテーション」該当者4名の入党・構成員としての承認を発表した。

参議院政策委員」は党規約にはない肩書のため、「代表が必要と認め役員会の承認を得た者」として入党したと考えられる。なおこの肩書は、同党所属の塚田区議が「れいわ新選組参議院政策委員の、よだかれんさん」と言及していた。

*1:支部を作れるのも公認を受けた予定候補者のみである

*2:規約が改正されるか、「代表が必要と認め役員会の承認」を得た場合はこの限りではない