浜通りの復興を否定し「お金しかない」と回答する山本太郎代表 (2023年6月25日 郡山)
前置き
2023年6月25日、れいわ新選組代表の山本太郎氏は郡山市内で「山本太郎とおしゃべり会 in 福島県・郡山市!」を開催した。
この中で、双葉町出身の参加者から復興についての質問があった。
このおしゃべり会が行われたのは東電福島第一原発のALPS処理水放出前であり、質問中に挙げられている「請戸」とは原発からほど近い漁港のある町である。
質問者の意図としては漁業の復興をいかに進めるべきか、心の復興はどうしたらいいのかというものだったが、山本代表は現在の復興政策は「見せかけ」「棄民」であるとしたうえで漁業や営農の再開を否定。金銭による「徹底的な補償」しか今は思いつかないと回答した。
質問
質問:
もし山本さんが復興大臣だとしたら、浪江町の請戸だとか漁業関係者をどうやって救っていくでしょうか、お伺いしたいです。
回答
山本:
難しい問題ですね。あの請戸はね、私もあの事故前には波乗りでよく行かせていただいたんですよ。
で、1番この原発の事故があって私が怒ったことは何かっつったら、やっぱりなんだろうな。
あのエリアっていうのは、ものすごくいい波が来るんですよ。
ワールドクラス、世界レベルの波がブレイクするところなんですよ。
あそこからずっと、上ももちろんですね、仙台に至るまでですね、仙台新港までの間だったりとか、もちろんその上は未開の地というか、もうあまりにもこう入り組んでて、1つ1つ表情が違うんだけれども、やっぱり福島県の波っていうのは、ほんとに3時間半、4時間ドライブしていく価値があるところなんですよね。
それぐらい、その請戸っていうところにも、その事故前にも寄せていただいたことあるんだけれども、これが漁業って話になるとちょっとまた変わってきますね。
逆に言ったら、徹底的な補償をするしかない。
というのも、やはり汚染を海に流されてるってことがあるわけだから、それは多分蓄積したものとかもあるでしょう。
で、それが決して、なんだろうな、実際にその検体というものをね、ピックアップしてっていう数もそんなに多くないんですよ。
ごめんなさい、出てくるかな。水産庁と、水産庁と多分復興庁あたりで調整しながらやってる部分だと思うんですけれど、実際にどのような影響が出るのかということはなかなか分かりづらいと。
もちろん、港湾の近くであったりっていうところからは180倍ぐらいの基準値、180倍のものが出たりとかしてるけれども、それが距離が離れた場合にどうなるのかっていうことの徹底的な観測っていうかいうものはそこまで行われてないわけですよね。
そう考えると、やっぱり私は徹底的な補償をするという形でやっていくのが1番いいんじゃないかと。
いろんなことが明らかになるという時までは、やっぱりそこはもうこれだけの公害に巻き込んで申し訳なかったってことで、国と東電で補償を続けるということ、最大限の補償を続けるということ、それが必要なんじゃないかと思います。
はい。……請戸の方なんですか? ……双葉町の方ですか。
マイク渡してあげてください。質問:
私が言いたいのは、国がお金で補償しますっていうことに対して、やっぱり請戸だったり、その漁業関係者だったり、そういう方たちはお金で補償するのかと。
何のために浪江に戻ってきたんだと。人生かけてきっと戻ってきて漁業を始めたと思うんですよ。
それで、漁業関係者はおいしいお魚を、安全でおいしいお魚を提供することが目的だと思うんですよね。
それをお金で解決っていうのが、もうなんか自分としては生きながら殺されてるような気持ちがしてまして、その他に何かできることないのかなって思うんすよね。
なんか署名かなんかでこう止めることとかってできないのかなって思うんですよね。
その人の心をこう救うというなんか見方で解決策はないのかなって思ったんですよ。山本:
はっきり言ってしまうと。はっきり言ってしまうとって言ったらなんなんですけども、無茶苦茶な基準を持って人を帰していったっていうのが1番まずいことなんですよ。
例えば、帰宅困難区域〔帰還困難区域の誤り?〕だったりとか、それ解除していこうとしてるでしょ。
解除しちゃダメなんですよ。で、20ミリを下回ればっつったけど、それ空間線量で見てるだろって。
で、帰宅困難区域なんて50ミリっていう数字ですよ、元々は。
で、それ定義変わってるかっつったら変わってないって、今は50ミリ下回ってるからいいんじゃないのって、お前、それ前よりもひどいことになってるじゃないかよって。
やってること無茶苦茶なんですよ。で、実際にかくじ〔核実験?核事故?〕、そういう核の事故が起こったところは何がありますかつったら、これやっぱり徹底的に測定してるんですよ、地面、土で。
そこにおいて、やっぱチェルノブイリでも廃村になったところがいっぱいあるわけですよね。
200近くあるんですよ。日本にそんな町ありました? 数字で、事故直後も今も大きく変わったかっつったら、20ミリで人が戻っていいなんて話になりませんから。
それは、だって、事故前の基準で考えなきゃダメなんだから。
で、帰るって言ってる人、帰ることを決めた人の家の周辺だけ除染しますって。
じゃあ、その人は家の周辺とお墓と集会所しか行かないのかってことですよ。
そんなわけないやんって。山の除染できるかって。
無理ですよって。どうして期待持たせんのって。
で、農業に関してはどうするんですか、みんな生業でやってますよと、楽しみであったりとかってことで。ほんとはやっていいのか? っていうとやっちゃダメですよ。で、どうしてやっちゃダメかっつったら、農業って個人でやられる方と個人の営農とで、そういう企業的なことで営農されてる方の2種類いるけれども、放射線に関するそういったね、チェックができるのは、チェックをマストとしてるのは、それ企業に属してる人たちじゃないですか。
でも、個人的営農がほぼ全部なのに、だから、何かつったら自己責任でやれ農業は、と。
じゃあ、農家の方が作業されてる時に土は舞わないのかと、その時の呼吸で取り込むことはないのかとか。
でも、そういうことが事実上ほとんど心配ないような形で、自己責任でずっと進められてきてるんですよ、これまで。
何が言いたいかってことですけれども、最初の初動から間違ってるっていうのがこの事故の対処でしょ。
というよりも、初動が間違ってると彼らは思ってないんですよ。
民主党であろうが自民党であろうが変わらないんすよ。
何かっつたら、最終的には大丈夫だってことでもう終わりにしようっていうこと。
そうじゃないでしょって。ないことを、あるものをないことにはできないんだ。
じゃあ、何が言いたいかってことだけれども、間違いなく、公害がありました、汚染がばらまかれました。で、事故前はこうでした、現在は最大限努力してここまでになりましたけれども、あなたはどうなさいますか、ということを選択できる状況にしなきゃダメなんですよね、ほんとは。
でも、そんなことやられたか? っつたらやられてない。
当然、先祖代々受け継いできた土地であったりとか生業であったりとかっていうものは当然守りたいですよ。
で、国が帰っていいっていうんだったら帰りたいだろうし。で、操業を再開できるっていうんだったらやりたいだろうし。
でも、それに関して、収穫物だったり様々なものに関してね、それを風評だっていう形でまとめるのは私違うと思うんですよ。
事故によって生み出された実害ですよ。それに対して国が事故を矮小化するために基準だけを上げて運用していった結果、板挟みになる人たちが生まれるってことです。
で、それを何で解決できるんですかって考えた時に、その運用された中で、今の時点、事故から12年経った今の時点でできることは何かっつったら、私はお金以外は解決できるものがないだろうと思うんですよ。
ものすごく苦しいことですよ、それって。逆に言ったら、それを国が買い取りまして、積極的にみんなに食べてもらうようにしますとかね。
例えば。私、それも違うと思ってるんです。東電が起こした事故、国策によって起こした事故、公害事故によって様々なものが環境中にばらまかれたわけですね。
それをどうして国が買い取り、そこと関係のない人たちがシェアすることになっていくのか。
だから、ほんとはごめんなさいね。これはほんとに徹底的に土壌の汚染だったり様々なものが調べられた上でのデータを見た上で話し合わなきゃいけないことなんですけども、それさえもう行われてないっていう、事実上ね。
やられたとしても、形だけであったりとか、薄かったりとか、それでは議論にならない。
議論の前提が何も揃ってない。大丈夫だってことだけを結論に持っていきながら前に進んでるっていう状況だからってことなんですね。
だから、心の復興っていう部分、だから、これまで行われてきたもの、国によって進められてきたものは何かっつったら、私はもう見せかけの復興だと思うんですよ。
結局、その課題を最終的に押し付けられて苦しい思いをしてるのは被災者の方々じゃないですか。
で、汚染水を流さないでほしいと、処理水っていうものを流さないでほしいという話さえも聞かれないわけですよね。
パッと見た目、ちょっと人々の暮らしがありますね、元通りになったっぽいっすねっていう景色が欲しいだけなのかって、そんな張りぼての話なんてないですよね。
非常に難しい問題ではあるんですけれども、お金の代わりに何かしらということに関して、なかなか難しい。
もちろん、これまでの人生、この12年間を奪われてきたというものを埋め合わせるものなんて何もないんですよ。
で、もともと事故前の生活、事故前の環境を戻せってこと自体がもう不可能な状態にあって、それをいかにも取り戻したでしょっていうようなことを演出するっていうこと自体が罪深いと。
もっと早くに心の準備をさしてくれよ。で、それに見合うというか、見合いはしないけれども精一杯の保証をしながらということを本来はその事故後積み重ねていくべきことだったんだろうと。
私、こういうこと喋ってるから「歩く風評被害」とか呼ばれてるんですけどね。
復興を邪魔するやつだって言われるんですけれども。国会の中でも、もうすでに終わったことだっていう認識です、ほぼ。
で、こないだ何かしら特措法が通されて、帰還困難区域に人を返していきますってことに対して、棄民政策はやめろっつったんですよ。
事実上の棄民政策なんすよ。
その法案に反対したの私だけですね。違うわ。共産党も反対してた。でも、立場違う意味での反対だと思いますけれども、山の除染をしろとかっていうような指摘もあったし、でも山の除染は事実上無理なんだから、だから、そういった事実関係もちゃんと被害者の方々にお伝えした上で何を選んでいただくか。
家の周りだけやっといたからいいだろ、除染って、え、帰るか帰らないかまだ迷ってんの。
だったら除染はできないなみたいなお、ちょっと待ってくれと。
一体どこから目線、もうほんとに雲の上からなんか目線なんですね。
ほんとに被害を与えてしまったっていう加害者の目線は一切ないっていう線引きからずっと進んできてるっていうことに対して憤りは感じるんですが、ごめんなさい、今言われたことに対して、もちろんお金で埋め合わせるものではないけれども、お金以外で何かしらという部分に関して、もうちょっと私も現地の人の気持ちを組めるように頑張っていきたいと思います。
補足
山本代表の主張は2011年以降一貫して「大規模疎開」「徹底的な調査を行い、戻るかどうかを判断していただく」というものだが、住民が帰還を選択した際の復興政策について、山本代表が説明したことはない。また、避難先での「災害関連死」が問題視されてからも、県内農産物の輸出額が震災前を上回っても、そして"脱被曝"が党政策のなかで簡素になっても、この主張は変わっていない。
このおしゃべり会の後、れいわ新選組は"汚染水"の放出を非難する声明を日英2バージョンで発表したが。それ以降の具体的なアクションは見られない。党の基本政策では"汚染水"は陸上保管し続けるべきという主張をしており、代表は中間貯蔵施設敷地や東電福島第二原発敷地をタンクの建設候補地に挙げている。
「汚染水放出があり魚は食べたくないと思っているがどう思うか? また漁業関係者に岸田政権がお金を出すことについて」という質問に、いかに放出が危険で場所もある(中間処理施設敷地や東電福島第二原発)とは語るが、食べること自体や漁業支援には触れない山本太郎氏https://t.co/oJzRPs3GGI
— 倉辻/こちらOCEP第五電算室(ocep5v) (@ocep5v) 2023年9月5日
別のおしゃべり会では、廃炉には数百年かかり、その間汚染水は出続けるという見解を示している。
なお、山本代表が言及している「特措法」とは福島復興再生特別措置法の改正であり、これにより「特定帰還居住区域」が設置され、帰還意向のある住民が帰還できるようになった。
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