OCEP第五電算室

この国を今一匹の亡霊が徘徊している――クソネミと言う名の亡霊が。

れいわ山本太郎代表「資料の誤り(参議院鞍替え事例)」は何が問題か?

前置き

5月2日、山本太郎事務所は街宣で使用した資料に誤りが見つかったとして訂正・謝罪した。

ただし、これだけを提示されてもいつの街宣について何を訂正したのかいまいち分かりにくいため、記録を残す。

内容

4月30日、れいわ新選組山本太郎代表は横浜市にて行った街頭演説にて、自身の衆議院議員辞職に対する批判についてこのように語った。

今回バッジ外すことに対して賛否あるでしょ。でもその賛否って、これまでも皆さん、しっかりと考えてきた? 議員辞職して鞍替えしますっていう時にその時に。いかがなものかって声皆さん挙げましたか? 

その後、ディスプレイに以下のスライドを写しながら、自分以外にも「衆議院から参議院に鞍替えした議員」がいることを主張した。

【街宣LIVE】山本太郎桜を見る会 神奈川県・横浜!(2022年4月30日)より引用

例えばですけど、衆議院議員で任期途中辞職、参議院に鞍替えした事例これだけありますよ。先日、ウクライナ、ゼレンスキーの大統領のですね、国会演説の時にピカチュウみたいなやついました、ああそんなこと言うたらあかん、ピカチュウみたいな人いましたよね? その人もそうですよ、ほら、山東昭子さん。
近くで見たら倒れるやつやなぁ思ってね、私見てたんですけど、あのゼレンスキー演説の時に。ピカチュウみたいな人、山東さん。あの方もそうだったんですね。衆議院議員で任期途中辞職、参議院に鞍替えした事例。

その後も、スライドを早送りしながら自身だけが批判されていることについて嘆く様子が見られた。

【街宣LIVE】山本太郎桜を見る会 神奈川県・横浜!(2022年4月30日)より引用

他にもいますよ。この方々の時にそんなに怒られてたかなぁ。怒られてなかったよねぇ。どうしてれいわ新選組だけ怒られるんだろう、どうして山本太郎だけ怒られるんだろう。

なお、同様の主張や資料は4月25日の仙台街宣でも見られた。

ここでは、「参議院議員を任期途中辞職して衆議院に鞍替えした事例」として、3名(長浜博行河上満栄・三浦靖)の事例が紹介されている。

問題点

スライドのタイトルより下を見ると自明だが、山本太郎氏が提示している事例は全て、参議院議員を辞職して衆議院に鞍替えした事例である。

参考元は参議院先例諸表にある「議員の辞職、退職、資格消滅及び除名一覧表」であり、そもそも根本から間違っていたことになる。

www.sangiin.go.jp

この指摘は横浜街宣後に TwitterYouTube でされており、このことが山本太郎事務所からの訂正発表につながったと思われる。

www.youtube.com

なお、仙台街宣で紹介した「参議院議員を任期途中辞職して衆議院に鞍替えした事例」についても逆であり、挙げた3名こそが山本太郎氏と同じく「衆議院議員を任期途中辞職し参議院に鞍替えした事例」である。

考察

今回の資料だけみれば、確かに間違っているのはタイトルだけと言うこともできる。しかし、仙台街宣ではスライドの章扉には「参議院議員を任期途中辞職、衆議院に鞍替えした議員の例」としておきながら、次のスライドでは逆のことが書かれているなど、ちぐはぐさが目立つ。

【街宣LIVE】山本太郎桜を見る会 宮城県・仙台!(2022年4月25日)より引用

横浜街宣に至っては具体的人物名を挙げて批判しているが、そのスライドに記載されていた「衆議院議員選挙立候補」には気が付かなかったのだろうか。このような品質を満たしていないスライドを1度ならず2度も使用したことは、国政政党としての調査能力や資料作成能力を疑われても仕方ないと考える。

そして、これは資料の問題だけではなく、そもそも山本太郎氏が自身に対する非難を「目の上のたんこぶだからされている」と主張してWhataboutismで片付けようとしている問題も存在する。山本太郎氏の鞍替えについては様々な観点から批判があるが、この資料を修正したとしても、山本太郎氏の主張は「どうして山本太郎だけ怒られるんだろう」でしかなく、批判に正面から向き合うのではなく単に矮小化したいことしか伝わってこない。

なお、この訂正については山本太郎事務所の Twitter と該当する動画コメントでのみ触れられており、れいわ新選組公式 Twitter山本太郎公式 Twitter、れいわ新選組公式サイトには記載はない。

街宣内でのおわび(追記日:5月13日)

5月4日に広島で行われた街宣のなかで、修正した資料を示して誤った説明をしたことを謝罪する場面があった。

しかし、謝罪した内容はあくまで「誤植をそのまま読んだ」ことのみであり、Whataboutism が主旨であることに変わりなかった。

これに対して様々なご批判があります。お前、任期の途中で辞めるってどういうことなんだよ、ってことですね。参議院から衆議院、ふざけるなって話があるんですけど、残念ながらですね、任期途中に議員を辞めて鞍替えをします、参議院から衆議院衆議院から参議院っていうのは、かなり前例の多い話なんです。

youtu.be

蛇足

弊ブログで指摘した「『英紙デイリー・テレグラフ』の記事はスプートニクによるものだった件」については特に進展はない。

ocep5v.hateblo.jp